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zoom RSS 私の前任の総務部長

<<   作成日時 : 2015/08/01 11:14  

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「劣後した人材というものは、安かろう悪かろうであり、結局は目に見えない余計なコストを何らかの形で会社に負担させているものと見なして概ね間違いのないところです」と以前書きました。

この持論に関係して、私の前任の総務部長のことを思い出しました。

私の前任の総務部長A氏は、パソコンの苦手な前近代的な人で、すでに書いたかどうか忘れましたが、当時の総務部にはパソコンがなく、私の着任第一番目の仕事は自分用のパソコン購入でした。

10年ほど前の当時の総務部は、A部長を含めて5人のメンバー(うち4人は女性)であり、よくこの人数で業務が成り立っているなあという印象を持ちましたが、それはまあウチの社長のケチケチ作戦の結果で、間接人員を極力圧縮していたことによるものでした。

A部長は、@パソコンは使わない、A定時出社の定時退社を徹底する人物であり、B必要最低限しか働かず、なおかつCアウトソーシングの得意(?)な人物でした。給料分の仕事をしているとはとても言えない人で、それは、普通の会社であれば本来存在するであろう人数の部下が存在しないのですから、或る程度は仕方のないことではありますが、A部長流の社長への意趣返しでもあったのだとも思います(なお、A部長は最後は重病となって退職しました。給与をタダ取りしていますと結末は恐ろしいこととなります)。

A部長が勤務していた10年間に、ウチの会社実態がどうなっていたかを列記しますと、概ね次のようになります。

@A部長がパソコン嫌いでIT化が停滞していたために、同業他社と比較して10年は業務効率化が遅れた。
A給与計算はパソコンではなく、超旧式のオフコンを使用しており、銀行へのデータ伝送不可。
B必要最低限の業務遂行であったため、取引業者との値引き交渉が全く為されていない状態。
Cアウトソーシング業者がやたらと増加し、お中元お歳暮の付け届けが多い。
D銀行借入れ金利が高いまま未交渉。
E過去の建築関係の資料が未整理のまま大量に山積し、一部がすでに散逸。
F決算書に会計上の不備不整合が多数存在。本支店間経理が出鱈目。
G過去の大量の経理資料、決算資料、データの未整理と保存不備。
H採用活動が場当たり的であり、選考基準も無く、離職率が20%以上と高い。
I劣後人材が伏魔殿のように徘徊し、クレームが多発、会社の評判が低下している。
J社長決裁ルート・手順が不明確で確立されておらず、特に購買申請の手順が不明確。

私が赴任した当時は、一言で言って、どこから手を付けて良いのか、判断に苦しむジャングル状態でしたが、恒常的に人材難のいわゆる中小企業というものの実態は、概してこうしたものだと思います。

しかしながら、ヒト・モノ・カネ・情報・時間に関する問題が、個別具体的に1つずつ解決されて行けば、利益は少しずつ自然に増加します。上記の各項目についても同様であり、これらの見えないコスト負担が解決されれば、残業も減り、かつコストも下がって利益が増加します。

私の採った方策を、以下順番に説明します。

@のIT化については、まずは給与計算をパソコン処理に切り替え、また報告書もパソコンで書式を制定して社内に流通させることとしました。また同時に、パソコン未導入の部門にパソコンを大量に購入して供給しました。パソコンの使用方法については、IT管理部長が何度も説明会を行いまして、数年かけてようやく社内のIT化が進行し、社内のLANケーブル配線も並行して敷設しました。IT化を普通に進展させただけで、各部門の残業時間が減少し、概ね通常業務は勤務時間内に完了できることとなりました。

会社の組織化は、決裁方法の手順制定と文書化(書式制定)による制度定着化しかありません。指揮命令系統を制度として固めてしまえば或る程度の組織化は完了します。

Aの給与計算は、給与ソフトを購入して既往の職員データをすべて私が入力し、2か月ほどかけて下準備ができました。それから既往の計算・支給方法と並行作業で1年間ほど検証し、銀行へのデータ伝送も含めてようやく業務が軌道に乗りました。これもまた普通のIT化だけで、総務部の手間が大幅に削減でき、業務内容も正確・適正になりました。

Bの取引業者との値引き交渉については、私の方で毎月の恒常的で取引金額の大きいものから順番に進めた結果、削減額を集計しますとウチの次長の年収分(一族なので結構多くもらっている)程度は無難に損益分岐点を引き下げられました。

Cのアウトソーシング先数は、適宜集約を図り、また同時に値引き交渉も進行したことで、お中元やお歳暮はほとんど届かなくなりました。付け届けが多いということは、それだけ先方が儲けているということですから、無駄な出費が多いと解釈して間違いありません。付け届けの減少は、それだけ値引きが上手く出来たということを示しています。

Dの銀行借入れ金利については、もともとの変動長期プラムレート連動借入れの金利水準自体を引き下げるように交渉し、その後は新規の借り入れをすべて市場金利(=TIBOR)連動型借り入れに順次切り替えることで、トータル金利の引き下げを図っています。市場金利連動型借入れですと、変動長期プライムレート連動借入れよりも格段に金利が低下します。スプレッドという銀行の儲け幅を0.5%としています。

Eの過去の建築関係資料の整理は、数年前に次長が夏休みをとっている間を中心に私が作業を進め、1週間ほどかけて私がすべて整理しました。当社の建物は、会社規模の拡大に伴った継ぎ足し建築の典型で、東西南北をぐるぐる回りながら順番に増改築をします。今後もそれを繰り返す予定です。そのたびに建築書類が大量に発生し、分類・整理が必要となりますが、ウチの次長が分類・整理するはずもなく、やむなく整理は私の担当となります。

F決算書の不備に関しては、特に事業所間の費用配賦に不備があり、各事業所利益がいびつな状態に長く放置されておりましたが、これは完全に修正しました。しかしながら、これは今後も十分に監視しないと、ウチの次長が別事業所の経費を平気で本社勘定から引き落としたりしますので、日頃から油断できません。

G決算資料については、5年ほど前に私がすべて整理・整頓しました。毎年発生する経理資料は、基本的にウチの次長に担当させていますが、未整理のまま倉庫に累積させてしまっています。経理倉庫は満杯状態となっていますので、ここ数年のうちにまた整理が必要となりましょう。ただし、これはウチの次長にすべて処理させるつもりでおります。

H採用活動は、総務部の大事な業務の一つであり、これは会社の業務レベル向上と対外的評判に直結しますので、すべからく面接審査を厳格な方向に改めています。そのため、募集しても採用基準を満たさない応募者ばかりの場合は、採用数ゼロというケースも発生しています。そのくらい厳格に行わないと、社員のレベルは上がりません。会社組織も結局は人が運営しますので、つまるところ人材の能力にほぼ連動して会社のレベルが決まります。快適に仕事ができる環境を確保するためには、建物や物品を整備することも大事ですが、レベルの高い人材を確保することが更に大事です。

I伏魔殿とはよく言ったもので、当社では周囲に大迷惑な人物が多数徘徊している状態が長らく放置され、対外的な評判を大きく下げていました。古くから勤務している社員の中に特に「魔物」が多く、しかも古くから勤務しているが故に上位管理職の地位に就いていますから、その排除は容易ではありませんでしたが、前任総務部長以下、定年や事件・事故のたびに引退や退職が自然に進行し(進行させ?)、ここ数年ようやく淘汰が進んで一般水準に到達した感じがします。ウチの次長や主任も、そうした古参社員と比較すれば、まだ随分とマシです。

J社長決裁ルートの確立は、組織化の基本事項ではありますが、私が赴任した当時は、決裁書式が存在しておらず、決裁ルートも確立されておらず、かつ決裁基準もありませんでした。そこで、決裁書式を制定した上で、決裁ルートもすべて総務部長経由で書類をまとめて社長へ提出する制度とし、かつまた各部長の決裁基準も取り決めました。この稟議制度確立によって、相当に業務の指揮命令内容が明確化して各部長の動きがはっきりし、また社長も報告などすべてが文書化されて安心した様です。

以上の様に、業務改善が著しく停滞してしまったままですと、見えない形でのコストの垂れ流しが継続しているのと同じであり、何年にもわたって会社に膨大なコストを負担させる結果となります。しかもそれは目に見えないため、観察力の鋭い人物でなければ、どの程度のコスト負担が会社に生じているのかが理解できません。

ところで話は変わりますが、会社のトイレの換気扇が故障した折に、ウチの次長は電気屋ではなくて出入りの仲良しの業者に声をかけ、換気扇の点検を指示しました。その業者は電気屋ではありませんから、案の定、点検はしても故障修理はできず、結局は別の電気屋を呼んで修理してもらいましたが、点検費用として31,500円の請求書だけはその業者からしっかりと届きました。私は、電気器具修理が専門外であるその業者に対して、何故点検依頼を出すのかウチの次長に問い質しましたが、「取り合えずいつもすぐに点検してもらえるので」という意味不明な回答があっただけでした・・・。

やはり、劣後した人材というものは、安かろう悪かろうであり、結局は目に見えない余計なコストを何らかの形で会社に負担させているものと見なして概ね間違いはないと言えましょう。

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