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zoom RSS 振込み手数料の教訓と自戒

<<   作成日時 : 2012/05/12 10:21   >>

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私が以前勤務していた会社の二代目若社長は、当初総務部長であり、私の入社後に私に総務部長職を引継ぎました。若社長は、「総務部を始め事務部門は、収益を生まないコストファクターである」という誤った信念を頑固に保持している人物で、珍妙な差配を色々と打ち出す経営者でした。

たとえば、A銀行の預金口座から、必要な資金をB銀行の預金口座に移動する場合に、本来であれば振込みか何かで移動させるべきところを、総務部の部下に命じて現金で移動させるのが常でした。その理由を尋ねてみますと、銀行間振込みの手数料を節約するため、という卒倒しそうな理由でした。

具体的には、総務部員がA銀行の小切手を持ってA銀行に行き、窓口で待たされて1千万円前後の現金を受け取り、それをカバンに入れてB銀行に向かい、B銀行の窓口で入金手続きをしてそのまま待機し、入金完了後に当座預金入金帳を受け取ってまた会社に戻るという作業を、毎月何度か繰り返していたわけです。

一度出かけて、一連の資金移動プロセスを終了して帰社するまでに、優に1時間は必要です。それでも、若社長は振込み手数料が節約できたという解釈で満足していたわけですが、そこには大きな誤認が存在します。

実際のところは、すでに皆さんは気付かれたと思いますが、その総務部員の手間と時間、つまり会社側から言えば人件費が、この一連の作業で、いわば無駄遣いされているということになります。しかしながら、コスト節約のために指示した若社長本人は、そのことについて気付いておりません。

その振込み手数料の節約のために、総務部員の時給2,000円前後が消費されていますから、この「節約業務」は人件費を含めれば、むしろ損失を拡大していることとなります。そうであれば、銀行のパソコンサービスでもって、数分で資金移動してしまった方が、結果的には最小コストで済むこととなります。

このように、目先の多少のコスト削減も、それに投下する人件費コストと比較してから判断しないと、実際にはコスト削減になっていない場合があるという概念は大切です。従業員の手間と時間を大きく使用してしまうような労働集約的な方法によるコスト削減や節約は、その実は労賃面でコストが増加してトータルではコスト削減になっておらず、方法自体が間違っているという場合が往々にして存在します。そのことが分かっていない経営者が圧倒的多数を占めているのも現実ですし、仮に理解できていたとしても、多少複雑になったケースに直面すると、たちまち判断を誤ってしまうのが実際のところです。

たとえば、私の前の勤務先は社屋が結構広く、各フロア間の行き来は息が切れてしまいますが、以前はコピー機が2階一箇所にあり、1階の職員が必要に応じて2階のコピー室に移動してコピーを取って来る、という作業を各人が毎日何度も繰り返しておりました。

こうした数十人の職員の日々の無駄な動きは、私の考えでは、職員の時給換算コスト年間累計の方が、コピー機1台の増設費用と維持費用よりも高いということになりますので、社長の了解を得てコピー機を1階に追加購入しました。追加購入と同時にカウンター料金を値引きしてもらいましたので、私の頭の中では、利便性向上達成とともに人件費も含めたトータルコストも低下している計算となっています。

しかしながら、ウチの社長はコピー機の増設には内心不満だったようで、そんな贅沢をしている会社は友達の社長連中に尋ねてみても、ウチの他にはない、と後日仰せでした・・・。

まあ、中小企業の社長というものは、概してそうしたもので、業務効率化を進めると、職員が楽をしてサボっているのではないかという解釈をしてしまう傾向があります。そうではなくて、現実には、浮いた時間で本業が充実できているわけで、決して職員が楽してサボっているわけではありませんが、そこが中小企業の社長の勘繰りの悲しさというもので、或る程度はやむを得ないところでしょう。

■要点1:コスト削減の場合には、その案件に投下する人件費も時給換算で計測・考慮して検討対象に加える必要がある。

■要点2:モノをケチってそれ以上の人件費を浪費している場合がある。

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